Zabbix 7 の新機能について
Zabbix 7 の主要改善点と特徴を解説
ITインフラの監視ツールとして高く評価されるZabbixですが、バージョン7ではさらに進化し、監視の精度や運用の効率を高める新機能が追加されました。Zabbix 6.4で運用しており、Zabbix 7に移行を検討しているので、Zabbix 7の新機能や改善点を調べてみました
はじめに
Zabbixは、サーバー、ネットワーク機器、アプリケーションなど、あらゆるITリソースの監視に特化したオープンソースのツールです。
筆者はZabbix 6.4で複数のサーバーのインフラを効率よく監視しています。Zabbix 7ではさらに多くの機能強化が追加されたり既存の機能の改善が実施されています。特に大規模な環境でのパフォーマンス改善や、運用の効率化が期待できます。
1. データ処理性能の向上によるスケーラビリティの強化
Zabbix 7では、大規模な監視環境においても高いパフォーマンスを発揮するようにデータ処理の基盤が最適化されています。
特に、以下の改善点が挙げられ、デバイスやホスト数が増加してもZabbix 7は安定して運用可能です。
- ヒストリーデータの処理速度向上: データベース内のヒストリーデータの読み書きが効率化され、大量の監視データを扱う際にもパフォーマンスが落ちにくくなっています。
- 新しいキャッシュアルゴリズム: Zabbixサーバーとプロキシ間のデータキャッシュの効率が向上し、応答速度が改善されています。
2. インターフェースの大幅な改良
Zabbix 7では、ユーザーインターフェースの利便性が大きく向上しました。特にダッシュボードのカスタマイズ機能が充実し、必要な情報にすばやくアクセスできるようになっています。
- 新しいウィジェット: ダッシュボードに追加できるウィジェットの種類が増え、特定の監視対象に合わせた柔軟な設定が可能です。
- ドラッグ&ドロップ機能: ウィジェットをドラッグ&ドロップで自由に配置でき、ダッシュボードのレイアウト変更が直感的に行えます。
- ダークモード対応: Zabbix 7では、ユーザーの要望が多かったダークモードが追加され、視認性が向上しています。
以下公式にあった画像です
3. イベント管理機能の強化
Zabbix 7では、監視イベントの管理がより細かく制御できるようになり、大規模な環境での運用がさらに楽になります。
- イベントフィルタリング: イベントの重要度や発生源ごとにフィルタリングをかけることができ、重要なイベントに素早く対応できます。
- イベント相関ルール: 似たようなイベントを自動的に関連付け、一連の問題としてグループ化する機能が強化されました。これにより、複数の警告が発生しても、その背後にある根本原因を特定しやすくなります。
4. クラウドおよびコンテナ環境の監視強化
Zabbix 7では、マルチクラウド環境やコンテナ化されたアプリケーションの監視がより一層簡単になっています。
- AWS、Azure、Google Cloudとの統合: Zabbix 7はこれらのクラウドサービスのリソースを標準でサポートしており、各クラウド環境で発生するイベントやメトリクスの監視が容易になっています。
- KubernetesとDockerの監視強化: コンテナ化されたアプリケーションに対して、より詳細なモニタリングが可能。特に、KubernetesのPodやコンテナのステータスを効率的に監視できるように、エージェントが最適化されています。
5. セキュリティ機能の改善
Zabbix 7では、セキュリティがさらに強化されています。
- 2要素認証(2FA)の導入: これにより、Zabbix管理画面へのアクセスがより安全に保護されます。重要なシステムに対する監視が厳重に管理されるようになっています。
- 暗号化通信の強化: Zabbix 7は、サーバーとエージェント、プロキシ間の通信に対する暗号化オプションが拡充され、盗聴や改ざんのリスクが大幅に低減しています。
6. エージェントのアップデートと簡素化
新しいZabbixエージェント2では、設定がよりシンプルでありながら、多くの機能が統合されています。
- プラグインによる拡張: Agent 2では、プラグインの使用がさらに簡単になり、カスタムメトリクスの収集が容易です。これにより、特殊な監視要件にも柔軟に対応可能です。
- より簡単なSNMP監視: ネイティブなSNMPサポートが強化され、複雑な設定を行わずに多くのデバイスを簡単に監視できるようになっています。
7. APIと自動化の強化
Zabbix 7ではAPIの柔軟性が向上しており、他のシステムとの統合や自動化がしやすくなっています。
- 新しいAPIエンドポイント: より多くの監視データや設定項目にアクセス可能となり、外部システムからZabbixを制御する際の自由度が上がっています。
- メンテナンスの自動化: 定期的なバックアップやレポート生成の自動化がさらに進化しており、運用負荷を大幅に削減できます。
結論
Zabbix 7では、スケーラビリティ、パフォーマンス、セキュリティ、操作性において大幅な改善が施されています。
特に大規模な監視環境を運用している方や、クラウドやコンテナ環境を監視している方、新しいユーザーインターフェースを試してみたい方は移行を考えてみてもいいかと思います
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